携帯電話やインターネット環境の普及により、随時、職場の外にいる従業員とコミュニケーションをすることが可能になったことで、外回りの営業に従事する従業員に対して事業場外のみなし労働時間制を適用することが、以前より難しくなりました。しかし、働き方改革の流れを受け、にわかに注目を浴びているテレワークに従事する従業員に対しては、条件を整えることで、事業場外のみなし労働時間制を適用させることができます。今回は、その具体的な方法について、解説させていただきます。

事業場外労働のみなし労働時間制とは

まず初めに、事業場外労働のみなし労働時間制とは何なのか、改めてご説明させていただきます。従業員が職場の外で仕事をした場合、実際にどれだけ働いているか把握することができないので、あらかじめ決められた時間、働いたものみなす、これを事業場外労働のみなし労働時間制といいます。以前は、外回りの営業に従事する従業員に適用されていましたが、携帯電話やインターネット環境が普及した現代においては、随時、職場の外にいる従業員とコミュニケーションと取ることができ、指示を与えたり、報告を求めたり、実際にどれだけ働いているかを把握することもできるので、その適用は難しい状況にあります。

テレワークとは

続いて、テレワークについて、改めてご説明させていただきます。テレワークとは、一般社団法人日本テレワーク協会によると、情報通信技術を活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方、と定義され、その働く場所によって、在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務の3つに分けられるとされています。また、在宅勤務とは、自宅にいて、会社とはパソコンとインターネット、電話、ファクスで連絡をとる働き方、モバイルワークとは、顧客先や移動中に、パソコンや携帯電話を使う働き方、サテライトオフィス勤務とは、勤務先以外のオフィススペースでパソコンなどを利用した働き方、とされています。

事業場外のみなし労働時間制をどのように適用するのか

では、テレワークで働く従業員に対して、どのように事業場外労働のみなし労働時間制を適用するのかをご説明します。厚生労働省のガイドラインによると、以下の条件を満たすことで、適用することが可能とされています。

情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと

ここでいう「使用者の指示により常時」とは、従業員が自分の意思で電源やインターネット接続を切ったりすることが認められていない状態を指し、また「通信可能な状態」とは、随時、具体的な指示を行うことが可能であり、従業員が指示を受けた場合、すぐに対応することができる状態であることを指します。逆に言うと、単に回線等が接続されているだけで、その端末から離れることが自由であるのなら「通信可能な状態」には該当しません。

業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと

ここに言う「具体的な指示に基づいて行われる」には、業務の目的や目標、期限などの基本的事項の指示をすることは含まない、とされています。

これらのガイドラインを踏まえると、職場との通信可能な時間帯を限定し、随時具体的な指示や命令を行わないとする等、合理的なルールを明確に定め、それに基づく運用を行うことで、テレワークで働く従業員に、事業場外労働のみなし労働時間制を適用させることが可能であると考えます。

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テレワークや事業場外労働のみなし労働時間制の導入について、どうぞお気軽にご相談ください。現状をお伺いして、スムーズな導入に向けてのサポートをさせていただきます。