例えば、業務の都合で2時間残業(18時〜20時)があった日の翌日に2時間早上がりをした。この場合の残業代について、解説します。

ノーワーク・ノーペイの原則

「ノーワーク・ノーペイ(No Work, No Pay)の原則」とは、簡単に言うと、遅刻や欠勤などで働かなかった時間や日については、お給料を支払う義務はない、というもの。つまり、先ほどの例に当てはめると、早上がりをした2時間分について、お給料から差し引くことができる、ということです。

時間外労働に対する割増賃金

労働基準法第37条により、法定労働時間を超えた労働については、通常の賃金の25%以上の率で計算した割増賃金を支払う必要があります。もし、その時間が深夜(原則22時〜5時)に及んだ場合、さらに25%以上の率で計算した割増賃金を支払う必要があります。

結論:割増賃金の支払いが必要

これらを踏まえ、改めて先ほどの例をみると、仮にその方の1時間あたりの通常の賃金を1,000円とすると、2時間残業をした日の賃金は10,500円(1,000×8+1,000×1.25×2)となり、2時間早上がりをした日の賃金は6,000円(1,000×6)となります。つまり、残業をした日についてはその分の割増賃金が発生し、残業をした翌日の早上がり分については「ノーワーク・ノーペイの原則」に従い、通常の賃金(8,000円)から早上がり分の支払い(2,000円)が免除されただけであって、その前日に残業をしたという事実に変わりはなく、その時間数に応じた割増賃金分の支払い義務がある、ということになります。

36協定の提出はお済みですか?

ところで、時間外・休日労働に関する協定書、通称「36(サブロク)協定」の提出はお済みでしょうか。いわゆる残業や休日出勤をさせる場合、事前に書面による協定を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。業務の都合により、致し方なく残業などをしてもらわなければならないケースに備え、きちんと手続きをすることをお勧めします。もしお済みでない場合は、ぜひお気軽にお申し付けください。