きっかけはさておき、テレワークが以前より一般的になり、これを受け、テレワークガイドラインの改訂版が厚生労働省より発表されました。今回はその中から、テレワーク時における事業場外みなし労働時間制の適用について、簡単にご説明させていただきます。

事業場外みなし労働時間制とは

その前に、そもそも事業場外みなし労働時間制とは何なのか、これについてご説明します。事業場外みなし労働時間制とは、労働時間の全部、または一部を職場の外で働き、その時間がどれくらいだったかを把握するのが難しい場合、実際に働いた時間ではなく、あらかじめ決められた時間を働いたことにする制度です。例えばそれを8時間とするなら、実際に働いた時間が6時間とか10時間であったとしても、8時間働いたことにするというものです。

導入の要件

テレワーク時において、次のふたつの要件を満たす場合、事業場外みなし労働時間制を適用することができる、とされています。

情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと

ガイドラインでは以下のような例が挙げられており、

  • 勤務時間中に、労働者が自分の意思で通信回線自体を切断することができる場合
  • 勤務時間中は通信回線自体の切断はできず、使用者の指示は情報通信機器を用いて行われるが、労働者が情報通信機器から自分の意思で離れることができ、応答のタイミングを労働者が判断することができる場合
  • 会社支給の携帯電話等を所持していても、その応答を行うか否か、又は折り返しのタイミングについて労働者において判断できる場合

このような場合は、この要件を満たすと認められるとのことです。つまり、即レスを求められていないのであればOKと考えて良さそうですね。

随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行なっていないこと

これについてガイドラインでは、

  • 使用者の指示が、業務の目的、目標、期限等の基本的事項にとどまり、1日のスケジュール(作業内容とそれを行う時間等)をあらかじめ決めるなど作業量や作業の時期、方法等を具体的に特定するものではない場合

は、この要件を満たすとされています。

もしこれらの具体例とは異なる運用をされている場合、事業場外みなし労働時間制とは認められない可能性があります。この機会に改めてご確認されてはいかがでしょうか。

ただし対象となるのは自宅のみ

最後にご注意いただいきたい点をひとつ。事業場外みなし労働時間制の対象となるテレワークは、起居寝食等私生活を営む自宅、で行われるものとされており、カフェ等の場所で行われるものは対象外になります。その場合、何らかの客観的な記録に基づいて始業、終業の時刻を把握する必要がありますので、ご注意ください。