いわゆる私傷病で仕事を休み、傷病手当金をもらっている方が退職された場合、引き続き、傷病手当金をもらうことはできるのでしょうか。結論を申し上げると、条件が合えば、引き続きもらうことができます。さて、その条件とは・・・。

そもそも傷病手当金の支給要件とは

退職後の傷病手当金の支給要件についてお話しする前に、そもそも傷病手当金をもらうための要件は何なのか、これを見ていきたいと思います。

労務不能であること

業務外の事由による、ケガ、病気のため、現在従事している仕事ができないこと。

待期期間を満了していること

連続する3日間(待期期間)を含み、4日以上、仕事を休んでいること。つまり、支給対象となるのは4日目以降ということです。

お給料の支払いがないこと

4日目以降の休まれている間、お給料の支払いがないこと。ただし、お給料が傷病手当金よりも少ない場合は差額が支給されます。待期期間については、例えば有給を取得したことでお給料の支払いがあってもOKです。

退職後の傷病手当金の支給要件

では、今回のテーマ、退職後の傷病手当金の支給要件について見ていきましょう。

1年以上の被保険者期間

退職日まで、1日の空白もなく1年以上健康保険の被保険者であったこと。現在の会社に正社員で1年以上お勤めならこの要件はクリアできると思われますが、問題になるのは過去1年以内に転職された方。前の会社での資格喪失日と今の会社での資格取得日が同じ場合は被保険者期間を通算することができますが、そうでない場合は、残念ながらこの要件を満たすことはできません。ちなみに、任意継続の期間と、共済組合の期間(元公務員の方など)は通算することができないので、注意が必要です。

退職日に出勤していないこと

退職日時点で傷病手当金を支給を受けている、または受け取れる状態にあること。もし、退職日当日に出勤してしまうと、たとえ仕事をするための出勤ではなかったとしても、傷病手当金を受け取れる状態にない、と判断されます。

労務不能の状態が続くこと

退職後は、1日でも働いたり、お医者さんが労務不能と認めない日があったりすると、その後は支給されなくなります。

もらえるのは1年6ヶ月まで

ただし、ここでいう1年6ヶ月は退職後からの計算ではなく、在職中の支給開始日からになります。

雇用保険の失業手当をもらっていないこと

雇用保険の失業手当は、働くことができる状態にある人がもらえるものであり、働くことができない人がもらえる傷病手当金と同時にもらうことはできません。

申請手続き

以上の要件を満たすことができれば、受給可能ですので、支給申請書を作成し、加入していた健康保険組合にご提出ください。仕事ができない1日ごとに2年の時効がありますので、早めの手続きをおすすめ致します。